第一回の今回は、クラウドソーシングとは何かについて、その意味、特徴などをご紹介したいと思います。
クラウドソーシング(Crowdsourcing)とは、その名の通り「クラウド(群衆)から人材をソーシング(調達)」することを指します。多くの場合、インターネットを通じて世界中の人たちのネットワークから仕事のニーズにあった人を採用し、仕事をしてもらうことを意味します。
もともとは、2006年6月にWired誌のジェフ・ハウが、「The Rise of Crowdsourcing 」というブログ記事の中で定義したのが最初です(同じ年2月に”Crowdsourcing”という言葉はそのものは使われている)。その中で、ハウは、
”crowdsourcing represents the act of a company or institution taking a function once performed by employees and outsourcing it to an undefined (and generally large) network of people in the form of an open call.”
(クラウドソーシングとは、企業、組織が、自社もしくはアウトソースの人材により実施していた業務を、よりオープンかつ不特定多数の人的ネットワークから人材を集め、実施すること)
と述べており、これまでの人材の活用方法と違い、圧倒的多数のオープンな人材市場から調達するという点が特徴となっています。
これまで企業が人材を雇用しようとすると、派遣会社や人材紹介会社を通じて、閉じたネットワークの中の限られたスキル、能力を持つ人材から選択するしか方法がありませんでした。しかしながら、クラウドソーシングでは、より大規模な世界規模のネットワークの中から、多種多様のスキルや能力を持った人材を探すことができます。
例えば、イタリアにいる統計学のPh.D.を持った人にデータを解析してもらう、アメリカ西海岸のエンジニアにiPhoneアプリのコーディングを依頼する、などといったことが、日本にいながら、しかも自宅からインターネットを通じて行うことができるようになっています。
また、単純な作業をより低コストの地域の人材に依頼することも可能であり、pdfの数値のExcelへの打ち込みをインドのワーカーに時給$5で行ってもらうということも可能になっています。
かつては、日本から海外の人材を活用できるのは特殊なコネクションを持つ大企業等に限られていたのが、クラウドソーシングの登場により、中小企業、スタートアップ、更には個人レベルで、世界中の多種多様な人材と協業することが可能になってきています。
例えば、oDeskと呼ばれる世界最大規模のサイトでは、350万人を超えるワーカーが登録しており、仕事を発注したいクライアントは、サイト上で仕事を公開することで、ワーカーを募ることができます。
クライアント(発注者)は応募してきたワーカーのスキルやこれまでの実績、評価、また、サイト上のテストの結果などの情報をもとに、発注先を決定します。
発注した後は、サイト上のコミュニケーションツールや、skypeなどのツールを使いながら仕事を進め、すべてをインターネットを通じて完結することが可能です。
oDeskのワーカーは、現在では世界180カ国を超えており、米国、ヨーロッパといった先進国だけでなく、インドのような新興国やバングラデシュのような途上国の人材とも、日本にいながら仕事をすることが可能となっています。
こういったクラウドソーシングサービスを提供するサイトは、今米国で数多く立ち上がっており、Crowdsourcing.orgという業界団体に加盟しているサイトだけでも、2000を超えています。
次回以降は、主要なクラウドソーシングサイトについてご紹介していきます。