クラウドソーシングはここ1,2年で急激に普及してきており、最近メディア等でよく耳にするようになってきていますが、その生まれとなると2006年にさかのぼります。
クラウドソーシングという言葉は、2006年にWIREDの記者ジェフ・ハウが定義したのがはじめだといわれており、そこでハウは、「企業、組織が、自社もしくはアウトソースの人材により実施していた業務を、よりオープンかつ不特定多数の人的ネットワークから人材を集め、実施すること」と述べています。。その後、いくつも定義が出てきていますが、インターネットを利用し、世界中の多様な人材を活用し仕事を行うことと言えます。
クラウドソーシングの考え方そのものとなると、更にさかのぼる必要があります。
現在280万人の登録者を抱える大手クラウドソーシングサイトのElanceは1998年のインターネット普及初期段階からサービスを提供しています。このサイトは当初はフリーランスがインターネットを通じて仕事を得るサイトとして登場しており、トーマス・W・マローンの2004年の著書『Future of Work』(フューチャー・オブ・ワーク)で、インターネットでフリーランスが活躍する新たな経済、e-ランス経済のプラットフォームとして紹介されています。登場当初から注目を集めるサービスではあったと言えます。
その後、2004年には、oDeskが登場し、現在では300万人を超える最大規模のサイトとなっていいます。日本では、2008年にランサーズがサービスを開始し、その後、2012年にクラウドワークス、Yahoo!クラウドソーシングが登場しています。2014年1月現在、ランサーズは23万人、クラウドワークスは10万人の登録者を有し、近年急速に市場が形成されつつあります。
また、日本では、リンダ・グラッドンの「ワーク・シフト」やノマドブームの影響もあるかもしれませんが、企業に依存しない新しいワークスタイルを実現するサービスとしても注目されています。
このように、登場して7年以上経つクラウドソーシングですが、近年の拡大を支えている大きな要因の一つは、ICTの進歩と言えます。
通信環境の整備やPC等の端末の低価格化により、インターネットを利用できる環境が整い、世界中のどこでも、だれとでも繋がることができる時代になってきてます。それによって、インターネットを通じて、米国西海岸のライターにマニュアル作成を依頼したり、バングラディッシュの翻訳家に和英翻訳を依頼することが可能になってきています。
また、インターネット環境の進歩に合わせて、コミュニケーションツールが整備されてきたことも大きな要因と言えます。かつてはインターネットを通じたコミュニケーションは、文字ベースであり、メール、掲示板といった表現力が限定されるツールが中心でした。しかしながら、最近ではビデオや音声をやり取りしたり、skypeやgoogleハングアウト等でリアルタイムに会話することもできるようになり、より複雑なコミュニケーションが可能になってきています。ワーカーを選ぶのにskypeで面接をしたり、途中成果物をビデオファイルでもらうようなことはあたり前に行われています。
実際に、インドのエンジニアにソフトウェアの開発を依頼したケースでは、途中段階の納品物はビデオファイルで送られてきて、その内容を指摘して、さらに開発を進めてもらうようなやり取りをしています。単に文字ベースでやり取りして、最後まで納品物を見られないのに比べれば大きな進歩と言えます。
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